グラフランツのオリジナル風呂敷ができるまで。

山田繊維様について

グラフランツのオリジナル風呂敷を作成するためにご協力頂いたのは、風呂敷専門店「むす美」を運営する山田繊維様です。山田繊維様は昭和12年12月、京都で風呂敷製造卸売業として創業した老舗のメーカーです。
今では数少ない「風呂敷専門メーカー」として、「ふろしき」という美意識の文化を世代を超えて伝えることを掲げ、伝統的なアイテムはもちろんのこと、現代のライフスタイルに適した新しい素材・染色・加工・グラフィックなどにも挑戦し続ける企業様です。
店名の「むす美」には「生す(むす)」+「美」から付けられており、「美」を生み出す・創造する・人と人が結ばれる・新しい何かが芽生えるという思いが込められています。また、オリジナルデザインの他、私たちのようなブランドとのコラボレーションや環境保護支援活動なども積極的に行っており、ふろしきを広く普及するべく、日本から発信を続けています。

山田繊維イメージ画像

ふろしきが生まれた経緯

グラフランツでは、日本での展開を開始以来、オンラインショップを中心に販売を続けています。
年に数回、ポップアップストアを展開させていただく機会があるのですが、こうしたイベントを通して触れられたお客様との対話や、ご購入くださったお客様とのお手紙のやりとり、いただいたアンケートの内容を見ていると不思議な共通点があることに気づきました。
それは購入を通して生まれたコミュニケーションに心が動いているのだということです。 お客様は商品にではなく、商品の購入前後に起こる物語に対してお金を払ってくださっているのだと感じたのです。
それが私たち日本チームのヒントになりました。

手紙と封筒

そんな嬉しい気持ちを抱いていたのですが、2020年に世界は未曾有のパンデミックに襲われました。
テーブルウェアをメインとして扱うブランドとして『わたしたちに一体何ができるのだろう?』と模索をしなければなりませんでした。
この状況下で、お客様は何に心が動かされて購入をしてくださるのだろうか。
そこで思い出したのが、『購入の前後に起こる物語』の話でした。 そこで、私たち日本チームは物語をぎゅっと詰め込んだ商品たちをセットにして販売をすることにしました。
それが今回のコチブルワリー様や蔵代味噌様との取り組みに繋がっていきます。

さて、企画は進み、アイテムも決まっていきましたがなかなかいいパッケージが浮かびませんでした。
セットのイメージを出すには、箱や包装紙に包まれてまとまっているものが一般的ですが、これらは「良いデザインであっても届け終えたら捨てられてしまう」存在で、私たちの掲げるサスティナブルで長く愛用していただけるアイテムたちとはどこか方向性が違うような気がしたのです。
加えて、今後は様々なブランド様とコラボレーションをさせていただく計画があったため、内容物によって異なる容量や形に対応するにはその度にリサイズをしなければなりません。さらに、コストも膨大にかかってしまうため、行き詰ってしまいました。

振り出しに戻り企画を再び練り直していた時に、グラフランツのデザイナーであるダニエルランツから聞いたある話を思い出しました。
ダニエルは元々、日本に約10年程住んでいたこともあって日本が大好きです。現在はコロナ禍でなかなか来日出来ていませんが、日本へは毎年のように来ていました。
そんなダニエルはいつか「日本の伝統的な素材を使って何かプロダクトを作りたい」という夢を持っていたのです。
その伝統的な素材の中でも風呂敷は内容物の大小に関わらずフィットしてくれて、自由にデザインできるところも特徴的です。
さらに、用途に応じて様々な形に結ぶこともでき、繰り返し何度も使えるという点も魅力的です。

そういう要素を考えると、風呂敷は日本で展開する今回の企画にはピッタリのコンセプトとプロダクトだと思いました。同時にダニエルの夢も叶えられるわけです。

パッケージが風呂敷に決まり実際に作っていただくメーカー探しが始まりました。複数のメーカーとやり取りさせていただき、最終的に決まったのが山田繊維様でした。ご担当くださった川城様や山田様から感じられるふろしきに対する愛情の深さがパートナーに決めさせていただいた理由となりました。

デザインの変遷

2020年10月から、デザイナーのダニエルと風呂敷のデザインについての打合せがスタートしました。
最初に、着眼したのはブランドの主なテキスタイルであるメリノウールから、羊をイメージしたデザイン。ネット上から様々なイメージが集められ検討が行われました。

風呂敷のデザイン案画像

ふさふさとしたあのフォルムに着目してみたり、

単純化してみたりスタイリッシュにしてみたりと様々に検討しましたが羊のモチーフは日本チームの想像する風呂敷のイメージとは少し異なりました。
その後、羊から派生してインパクトのある羊毛にも着目。 繊維のようなシンプルでモダンなデザインにフォーカスしてみたり、 着眼点を少し変えてアメリカのスカーフのようなシンプルで大きめの型をモチーフとするようなイメージにしてみたりなど、 多くを試してみましたが、それでも求めていたものとはほど遠く、なかなかうまく行きませんでした。

風呂敷のデザイン案画像2

試行錯誤を重ねていくうちに、日本国内での展開アイテムのため日本の伝統的な色やモチーフを参考に、包んだ時にどのように見えるかということに考えがシフトしていくようになりました。

風呂敷

元々包むものの形状は決まっていましたから、その形状を参考にグラフランツのベストセラーのコースターがアイテムを支える縁の下の力持ちという立ち位置で、デザインが中央に集約されたイメージに着地したのです。

デザイン案画像3
デザイン案画像4

方向性が決まれば、紙に印刷してみて内容物に合わせたサイズ感の微調整や色合い・フォルムなどを何度も何度も調整して吟味していきました。

デザイン案画像5

そうして出来上がったデザインを原寸の紙に印刷して、

風呂敷4色

最終的に結んだ感じのイメージを固め、

風呂敷結んだイメージ1
風呂敷結んだイメージ2

そうやって長い時間をかけて納得のいく風呂敷のデザインが完成したのです。

その後は風呂敷に仕立てる為の布選びです。正絹、オーガニックコットンなど様々な素材の中から、私たちの考える風呂敷のイメージであった綿シャンタンを採用し、山田繊維様にサンプルを作成いただきました。

色見本をもとに修正を重ね、納得のいくまでサンプルを手直しして仕上げていただきました。

風呂敷4色2

そのサンプルを基に、設えていただいた風呂敷は私たちの想いはもちろんのこと、山田繊維様のご厚意によってとても美しく仕上がりました。 本当に感謝しております。

さて、パッケージ製作はまだまだ続きます。 そう、結び方です。前述のように内容物は決まっていましたから、それに似あう結び方を研究しました。

風呂敷結び方案ラフ画像

イメージを絵に起こして確認をして、

結び方案

山田繊維様のHPに記載のある結び方を参考にして何度も何度も確認をしました。 しかし、私たちには風呂敷の知識が浅く、なかなか上手にできませんでした。 そこで、山田繊維様にご相談差し上げたところ、なんとご厚意で風呂敷の結び方講座を開催いただけることになりました。

リモートの様子

山田繊維様本社の京都と我々日本チームのオフィスがある東京を繋ぎ、リモートで私たちの考えた結び方のキレイな魅せ方や、簡単な風呂敷の使い方などを丁寧に教えていただきました。

ここでの講座を受けて、オリジナルの風呂敷でのラッピングサービスも開始。まだまだスタートしたばかりのサービスではありますが、私たちと一緒に、風呂敷のある暮らしを試してみませんか?

graflantz×むす美 
オリジナル風呂敷
¥2,700